資金を提供したくなる!? 正しい経営計画書の作り方

経営計画書作成の必要が生じるのは、どのようなときでしょうか?

 

それは本来の作成目的とは少し違うかもしれませんが、金融機関や投資家に資金提供をお願いするときです。
一般的には創業時に資金提供をお願いする際に、初めて経営計画書作成の必要が生じることが多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は初めて資金提供を受ける方のために、経営計画書作成のポイントをお伝えいたします。

 

1・最も重要なこと

 

金融機関や投資家に資金提供をお願いする際に作成する経営計画書について、最も重要なことを確認しておきます。

 

それは「資金の回収可能性」です。

 

これは資金を提供する側から考えれば良く理解できます。
貸付であれ、投資であれ、支出した資金が回収でできなくなるのは最悪です。

提供した資金が間違いなく戻ってくるのか、
提供資金が利回り何%で運用できるのか、
もしくは大きく化ける可能性があるのか、

そういうことを検討して資金提供側は資金を出すべきか出さないべきかを決定します。
資金が間違いなく回収できる経営計画書を作成しましょう。

 

2・資金の回収可能性の裏付け

 

では資金が間違いなく回収できる経営計画書とはどのようなものでしょうか?

それは「利益」「信頼性」がある経営計画書です。

まずは「利益」が出る経営計画書であることが最低限の条件となります。
利益が出ない経営計画書なんて作成する人がいるのかとお考えになるかもしれませんが、
理想だけが全面に押し出されたもの、節税対策をするから利益は出さない、利益はすべて経営陣で持って行く、
という考えで経営計画書を作成してしまうケースなどが見受けられます。

これは資金提供をお願いする立場としては、明らかな間違いです。
必ず利益を計上して、資金提供者への返済や還元できる計画を立てなければなりません。

 

そしてその次に大事なのが、その計画の「信頼性」です。
利益は出ているが現実的ではないものや数字の根拠があやふやな計画書では、信頼を得られません。
またひと目見ただけで却下されそうな無謀な経営計画などもあります。
いくら利益が計上できる経営計画でも信頼性が無ければ、相手にしてもらえません。

 

信頼性を得るために必要なもの、それは「常識」「独自性」です。

 

ビジネスには一定の平均値や目安のようなものがあります。
例えば代表的なものは売上総利益率(粗利率)です。
商品の卸売なら15%~20%、小売なら30%、飲食業なら70%などと一定の目安があります。
また店舗経営であれば、坪数と立地などから家賃と売上にはある程度の相関関係が生じます。
人件費に関しても、業種により目標売上を達成するための必要人員などに基準があり、ある程度の数字は予測できます。

これらを全く無視した無謀な計画を作れば、この人は事業で利益を出すことは出来ないと判断されてしまいます。
例えばなんの変哲も無いありふれた商品を取り扱うのに利益率を50%に設定したり、
客席数が20席しかない飲食店なのに、毎月1億円の売上を見込んだりとかです。

 

まずは常識的な数字を参考に普通の経営計画書を作成します。
そこに利益を出すための仕掛けや特徴となる独自性をプラスしていきます。

経営計画書に独自性を加えるには、以下の2つの方法があります。

・常識的な数字をそのまま使って、別なポイントで優位性をアピールする方法
・数字自体を差別化して、そこに計画性のある戦略や優位性をアピールする方法

いずれにせよ独自性を出して、他との違いである強みや実績などをアピールするポイントを作ります。
常識的な数字に独自のアピールポイントが追加されることで、利益の計上に信頼感が生まれます。

 

3・数字を差別化した実例

 

参考のため実例で説明します。

飲食店を開業する方が日本政策金融公庫に融資を申し込む際に、創業計画書の作成をお手伝いしました。
飲食店というのは平均的な利益率は70%というのが世間での常識です。
もちろん日本政策金融公庫の担当の方も当然のようにそのように考えています。
しかしその方とはお店のコンセプトなどを話し合いの上、利益率を60%で計画書を作成しました。
当然そこは説明を求められます。
その際の返答は以下の3つを用意しました。

・ここ数年、飲食店はネットや口コミでコスパが重視されている。
・過去の平均はそうかもしれないが、最近の繁盛店の利益率は60%程度が多い。
・以上の理由から原価率を少しあげて、お客様に満足していただくことが結果的に利益につながる。

この3つの説明を聞いて、納得しない人は少ないでしょう。
何よりこの経営者なら情報収集能力も高く先見性もあり大丈夫そうだなと判断されて、
融資する側から見ても期待されることになるはずです。

融資は希望通り満額実行されました。

ポイントはわざと常識的な数字を少し変更した計画書を作成して、そこに会社独自の戦略を用意しておくことです。
単純に間違えたとか、後ろ向きに安全策でなどという理由ではダメです。
しっかりした答えを用意して、そこをアピールに使います。
一瞬大丈夫かな?という数字を見せて、そこに練られた計画が存在することにより、信頼感につながっていきます。

 

常識的な数字に独自の戦略や特徴(強みや実績)を探してプラスすることで、
資金提供者にお金を出したいと思わせる経営計画書を作成をすることができるようになります。

 

 

まとめ
・経営計画書作成のうえで最も重要なことは、資金の回収可能性。
・「常識+独自のアピールポイント」で、実行可能性が高く信頼性の高い経営計画書が作成できる。

 

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福田哲也代表取締役

投稿者の過去記事

S49年3月生まれ
仙台市出身
CFP・税理士

企業の税務や会計だけでなく、
社長の財産形成についても一緒に考える会計事務所を運営しています。

ご自身の財産、節税、経営について真剣にお考えの方、
お問い合わせお待ちしております。

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